この世の色々な法則を探求するブログ

「この世界はこういう仕組みで成り立っている」という真理に思い焦がれつつ、死ぬまでに1つでも多くの法則を理解・発見するために日々生きております。これまで生業として来た物理学、数学、人工知能などの分野を中心に、日々の考察日記を綴っていきたいと思います。

おすすめ書籍:人生の勝算(前田裕二さん著)

やりたいことに没頭して生きて行きたいけれど、最初の一歩が踏み出せない方の背中を押してくれる1冊

この記事を誰向けに書くのが良いか考えたのですが、他でもない自分が感動した本なので、僕と似たような方向けに書くのが一番確実だろうと思いました。つまり、

  • 自分が本当にやりたいことに没頭して生きて行きたい
  • でもそうすると食べて行けないかも(やりたいことがお金になりにくいので)
  • だから今既に敷かれているレールから外れる勇気が持てない

ということで悶々とされている方。「人生の勝算」は、特に3番目がネックになっている方の背中を押してくれる1冊になる可能性が高いのではないかなと思っています。

完成された「モノ」ではなく、人との「絆」が価値になる時代

少し話が脱線しますが、前田裕二さんの「人生の勝算」も、別途記事を書きたいと思っている西野亮廣さんの「革命のファンファーレ」も、本質的には同じことを異なる切り口で具体化したものと思っていて、その共通部分を抽象化した法則は佐藤航陽さんの「お金2.0」に書かれている内容だと思っています。ここで言う法則とは「お金のコモディティ化と、価値主義の時代の到来」です。読まれていない方は一体何のこっちゃ?と思われるかもしれませんが、簡単に言うと今後「お金を生み出す」という行為は陳腐化(誰でも出来るようになる)して行き、どんな「価値を生み出す」ことが出来るかの方が重要になるということです。前者の、「お金を生み出す」という行為が誰でも出来るようになる、ということにリアリティが持てないという方は、「お金2.0」や「革命のファンファーレ」を是非お読みになって下さい。ここでは後者の「価値」の方に着目します。「人生の勝算」においてここで言う「価値」に相当するのは人との「絆」です。生産性が高く殆どのモノが安価に手に入るようになった現代において、私達は完成品としての「モノ」よりも、人との「繋がり」に価値を感じるようになりました。このことを反映して、音楽業界では完成された「モノ」としての作品そのものだけでなく、ファンとアーティスト、あるいは、ファン同士の「絆」が大きな価値を持つようになりました。このことは、これまで芸術として洗練された完成品を提供できるごく一部の才能と運に恵まれた天性の持ち主だけに開かれていたアーティストへの道が、正しい努力によって「絆」を生み出すことさえできればその他多くの人にも開かれる可能性があることを示唆しています。そしてそのような機会と仕組み(プラットフォーム)を提供するサービスが、前田さんが現在運営されている「SHOWROOM」です。また一旦脱線しますが、「お金2.0」では「分散化」というのが重要なキーワードになっており、これまで国や企業が力を持つ中央集権的な体制だったのが、あらゆる仕組みが分散化することで個人が力を持つ有り方に変わって行くと書かれています。この変化を音楽業界に照らし合わせた時の姿が「人生の勝算」に書かれている内容で、これまでのレコード会社やプロダクションに力が集中する中央集権体制から、ファンとの絆やファン同士の絆という価値を提供することの出来る「個人」が力を持つ分散体制へと移行しつつある、ということなのだと思います。

後天的な努力によって、頑張った人が報われる世界

「人生の勝算」は、一貫して前田さんの「正しい努力がきちんと報われる世界であってほしい」という信念が圧倒的な熱量を持って貫かれており、それが読者を惹きつける一番の魅力だと感じます。少年時代に路上の弾き語りで生活費を稼いでいた時のエピソード、投資銀行勤め時代に圧倒的モチベーションと努力により頂点に上り詰めるエピソードは、この信念を前田さんご自身が体現された結果だと思います。そしてSHOWROOMによって今度は他の多くの人に同じ体験が提供され、いつかその信念が実証される日が来ると信じています。本の最後は以下の言葉で締め括られます。

>>情熱と努力次第で、人はどんな高みにだって上っていける。自分の人生を通じて、これを証明してみせます。前田裕二の「人生の勝算」は今、はっきり見えています。<<

見極めてから掘れ

上記の圧倒的熱量を保ち続ける秘訣として「人生の勝算」では最初の見極めを重要視しています。ここの見極めが足りないと、最初は意気揚々と成功という金脈を掘り当てようとザクザク掘り始めるものの、長らく見つからないまま次第に疲労困憊してくると「本当にここを掘っていて良いのだろうか?実はこの下にはないんじゃないか?」とだんだん不安に駆られ、いつか掘るのをやめてしまうというのです。僕個人としては、この部分が一番新たな気付きで、かつしっくり来ました。冒頭に書いた、レールと違う方向に一歩踏み出す時にどうしても拭えない不安感。この不安感の元凶が長らく判らずにいました。ホリエモンこと堀江貴文さんの本などでは「小利口ではなく、バカになれ」と書かれていたりします。僕は間違いなく「小利口」に該当するという自覚があり、その「小利口」な人にとって「バカになる」というのは天才になるのと同じくらい難しい。解を見出せないまま歩みが止まり悶々としていました。しかし「人生の勝算」を読んで、自分の不安の元凶はここに書かれている「見極め」の不足から来るのではないかと思いました。これは僕を含む「小利口」な方々にとってそれほど目新しい話ではなく、仕事でよく言われている「課題定義」と「仮説立案」を徹底的にやりなさいという話だと思います。これを会社の仕事だけでなく、自分の人生という広いスコープにおいてもしっかりやりなさい、そうすれば不安は払拭されて(レールとは関係ない)進むべき道が見えてくるはず、そんなメッセージとして僕は受け取りました。そして「それなら自分にもやれそうだ!」と感じました。この記事をここまで読んで下さった方がいらっしゃったとしたら、きっと少なからず同じように一歩が踏み出せず悶々とした悩みを抱えていらっしゃる方なのではないかと思います。そんな方が少しでもこの本に興味を持って下さり実際に本を手に取られて、同じように新たな一歩を踏み出す希望を持てるようになれば嬉しいなと思っています。

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)