星の王子さまミュージアム
ちゃんと「ミュージアム」
奥さんのリクエストで箱根にある星の王子さまミュージアムに行ってきたのですが、
これが思いの外すごく良かったです。
雰囲気としてはディズニーシーの一角を切り取ってきたみたいな感じで、小さくてかわいらしい場所です。
が、それだけでなく「ミュージアム」としての色もちゃんとある所が素晴らしく、
色々と思索に耽りながら、子どもの頃科学博物館に行った時のような気分に浸ることが出来ました。
実は事前に本を読まずして行ったのですが、解説がしっかりしているので十分楽しめました。
逆にここで興味を持ったので、家に帰ってから本を読みました。
1本のバラ
印象に残ったのが、王子さまが自分の星で大切にしていた1本のバラのお話。
ある日どこからか種が飛んできて王子さまの星で芽吹いた美しい花。
王子さまはその綺麗な花に心奪われ大切に見守ります。
やがて花は自分の美しさをはなにかけて
王子さまに我が儘を言ったりウソをついたりするようになり、
それでも1つ1つ真摯に応え続けていた王子さまは
ある日とうとう耐え切れなくなって星を出る決心をします。
そうして色んな星を旅したあと7番目に訪れた星、地球。
そこで王子さまは1つの庭にバラの花が5千ほども咲いているのを
見てショックを受けて泣いてしまいます。
「世界にたった1つだけだと思って大切にしていたバラの花が、
実はこんなにもごくありふれた花の1つに過ぎなかった」
するとそこへキツネが現れ、そのキツネとの対話を通じて王子さまは大切なことに気が付きます。
「ここに咲いているバラの花はどれも同じように美しい。
でも自分の星に咲いていた1本の花とは全く違う。
あの花は自分が水をあげたり、ついたてで風を防いだり、覆いガラスをかぶせたり、
話を聞いたり、心配した花。だから自分にとっては、あの花は世界にたった1つしか存在しない花なんだ。」
この花は著者のサン=テグジュペリさんの奥さんコンスエロさんがモデルとなっているそうです。
何かが自分にとってどれだけ大切なかけがえのない存在になるかは、
自分がどれだけ大切にしたかで決まる。
これはすごく納得感や実感があり「なるほど」と思いました。
かんじんなことは・・・
王子さまは地球に辿り着く前に訪れた6つの星で、
地位、名誉、お金など色んな欲に目がくらんだ大人に出会います。
そして地球で、上でも登場したキツネはこう言います。
「かんじんなことは目に見えないんだよ。」
このくだりを見てハッと思ったのは、もしかするとこれからの時代は
かんじんなことが目に見えるようになる時代なのかもしれない
ということでした。
確かにこれまでの資本主義経済では、これらの「かんじんなこと」の価値は
唯一の客観的価値尺度である「お金」に換算することが難しかったため、
「目に見えないもの」だったと思います。
けれど社会が豊かになり、その価値尺度があまりに実態の価値とかけ離れて来たため、
「目に見えないかんじんなこと」の価値を顕在化、つまり「目に見えるように」し始めているのが
今の時代なのかもしれません。時間、信頼、個性といったものがトークンという形で可視化されていく時代。
そうなっても依然として「かんじんなこと」はやはり目に見えないものとして残るのか、
これは面白い時代になりそうだと心密かにワクワクしてしまいました。